【役に立ったらいいな】大腸内視鏡(大腸カメラ) -実践 その2-
皆様お疲れ様です。
今回も大腸内視鏡実践編について書いてみたいと思います。
前回のはこちらから (11/12にUPしたのですが何か上手くいきませんでした…)
前回の話では奥まで挿入できたことになりますのでここからは引き抜きながらの観察となります。
【観察】
とは言いましてもここからは、テクニック的な話がメインになってします。
観察の際に重要なのが、襞の裏もきちんと見ているかと言うことになります。
大腸は大きめの襞がいっぱいある臓器です。(ホルモンのシマチョウと同じです)
ですが、大抵の大腸内視鏡は前方しか見えませんので普通に観察していると襞の裏側は死角になってしまいます。(しかも結構こういうところにポリープ隠れてること多いです。)
ですので、カメラをグリグリ動かしながら襞を押し分けて観察していかないといけないのですが、たまに検査を早く終わらせるためにすっ飛ばして観察する先生がいらっしゃいます。
これに関しては実際検査やってる人しか中々分かりにくいと思いますが、一つ面白い論文が以前に発表されました。
それは
「大腸の観察時間(奥まで到達してから引き抜いてくるまでの時間)が6分以上であれば腺種(ポリープの事です)の発見率が上がる」
観察に時間をかければ病変がよく見つかる、とまぁ当たり前ではありますが(笑)
なので最低でも6分は時間をかけていないとちゃんと観察していない可能性は高いです。
僕の場合は大体挿入に5分、観察に15分くらいはかけて行っています。
【消化器内科医がベターな理由】
この観察において消化器内科医がベターな理由が出てきます。
具体的な例を挙げて説明していきます。
<例1> 感染性腸炎
生卵、生肉、魚など様々な食物で感染を起こす可能性がありますが、これら全てを総称して感染性腸炎と言います。
ですが、もちろん感染する菌(サルモネラとかカンピロバクターとかです)によって炎症の起こし方に特徴があります。
そして、それをカンファレンスでカメラの画像見ながら議論する事が圧倒的に多いのは消化器内科です。
本来であれば、感染性腸炎の診断は、1週間くらいの食べたものを聞き出し、便の培養検査(菌を調べる検査です、通常1週間はかかります)など行い菌を同定していくのですが、それにカメラの画像での診断も加わる事で、より正確な診断、そしてより確実な治療(抗生剤の選択)ができるようになってきます。
<例2> 潰瘍性大腸炎
これも最近増えてきている難病ですが(増えすぎて軽症の方は難病から外されました)、病態としては完全には解明していませんが、本来ウイルスなどの外的から身を守る自分の免疫が、自分の大腸を敵とみなして攻撃してしまう病気です。
これも、一番大事なのはカメラの画像です。
症状なども必要になってきますが、最終的に診断を下すのはカメラの画像で行います。なので、この病気に慣れていない人が内視鏡をすると
「ん?…とりあえず生検(組織をとって調べる検査です)して検査まわしとけばいっか。」で終わってしまう場合があります。
実際それで僕の外来にまわされてしまい、もう一度大腸検査をやり直した事もあります。
慣れた人が見ると、
「粘膜面は潰瘍性大腸炎だろう、しかしながら同様の粘膜を示す病気としてカンピロバクター腸炎なども除外しないといけないな。
生検も必要だけど、ついでに便培養(内視鏡検査中に採取できます)も提出しておけば次の外来で診断、治療に移れるかな。」
さらに終わった後に、今後の予想されるであろう経過も話して専門の外来を予約したりできます。
このように行う医師によって外来を受診する回数、治療までのスピード、全体にかかる費用まで変わってきてしまいます。
なのでできれば消化器内科での検査が望ましいと思われます。
思った事を書いていくとどんどん膨らんでしまいます…
そのうち完全版としてまとめたいと思っております。
最後まで読んでいただき有難うございました!