【雑記】血を吐いた!その時現場は。処置編 (前編)
皆様お疲れ様です。
今回でようやく締めくくりたい…と思いましたが、書いてみるとこのままでは5000字位になりそうだったので分けて書かせて頂きます。
前回までのあらすじはこちらから、
【読む前に注意】
前回同様やや表現が過激になるかもしれません。(今度はがっつり出血の話あります)
なるべく不快にならないよう心がけますが、もしお気分害されたらすいません。
アルコール依存症のヤ〇ザ屋さんが大量吐血、ショック状態となり救急搬送。
準備が整いついに処置を行うことに…
僕「さぁ処置しよか!とその前に...〇〇さん(患者さん)分かりますか?」
患者「...」
意識はなさそうだ。ショックになっているし当然と言えば当然だ。
僕「じゃあこのまま始めます!」
看護師「よろしくお願いします!」
処置用のやや太めの内視鏡を入れる。
まずは咽頭を超えて食道内へ挿入するのだが、これもテンションが上がっているためか今までにないスピードで挿入する。
ここで前述のおさらいですが、吐いた後に血が出るのはマロリーワイス症候群であることが多く、その場合は自然に止血されることがほとんどです。
しかしながら今回は大量に吐血+ショックとなっており、マロリーよりも食道静脈瘤からの出血を考えなければならず、その場合止血できなければ死んでしまいます。
食道の観察を始める。累々とした食道静脈瘤がそこには控えていた。
しかし出血はしていない。
僕「...!?血出てないね...」
看「!?そうですね。」
少し安堵の空気が流れる。
僕「あ、でもここはやばそうな感じやね。」
食道静脈瘤の上に赤い点を見つけた。
これは赤色栓といって、出血していた可能性が非常に高い証拠となる。
通常そこを止めれば処置は終了となる。
僕「よしそしたら処置しよか!」
処置前に、吐いた血が気管に入らないように(肺に行かないように)専用の筒を食道内に入れる。 こうすることで仮に出血しても全て口から外に出るようになる。
続いて処置に取り掛かる。
【食道静脈瘤の処置】
食道静脈瘤の処置は大きく分けて2つあります。
●1つは輪ゴムで括る方法(内視鏡的静脈瘤結紮術:EVL)です。
これはそのままですが、特殊な筒を使って静脈瘤をカメラで吸い上げます。
吸い上げたところでその根元に輪ゴムを発射して括ってしまいます。
出血する部分を括ってしまうという至極単純な処置方法です。
●もう一つは血管を固める薬を注入する方法(内視鏡的静脈瘤硬化術:EIS)です。
これは、カメラから針を出して直接静脈瘤を刺します。そして血管内に薬液を注入することで、血管そのものを固めてしまう処置方法です。
EISの方が再発してくる可能性は低くなりますが、血管に針を刺しますので失敗すれば血の海になります。そうでなくても今回の場合出血していますので、EVLの方法を取りました。
僕「よし!じゃあEVLやるから器具の準備して!」
看「はい!」
カメラを一旦抜いてその先端に特殊な筒を取り付ける。そこに輪ゴムを装着し準備完了だ。
そして再度カメラを挿入し、問題の静脈瘤の部分まで進める。
盛り上がる静脈瘤の上に光る赤い点。赤色栓を確認し処置に移る。
筒を赤色栓に被せてカメラの吸引をかける。
すると静脈瘤が徐々にその筒の中に吸い込まれていく。
と、次の瞬間その赤色栓から勢いよく血が吹き始める。。
これはいつもの光景だ。
さっきまで血が出ていたんだから刺激すれば血が出るのは仕方がない。
ここで焦って吸引を止めてしまえば、途端に血の海が出来て大変なことになる。
焦らず、しっかりと筒の中に静脈瘤を吸い込み根元を輪ゴムで括る。EVL成功だ!
僕「ふぅ......これで大丈夫やね。」
看「そうですね。お疲れ様でした。」
カメラを引き抜いて一件落着...のはずだった。
僕「ん?」
抜こうとしたときに、括った静脈瘤の奥から血が流れてくる。
僕「出血した残りの血が返ってきたのかな?少し様子見ようか。」
カメラを入れたまま少し様子を見る。しかし、血はとめどなく流れてくる。
僕「やばい予感がするわ、ちょい奥みてる!」
普通は静脈瘤を括った後でそれを乗り越えてカメラを挿入するのはやってはいけない行為です。そうすることで輪ゴムが外れてしまうと大出血+もう一回止めるのが難しくなり死亡リスクも上がります。
しかし、この時はそんなことは言ってる余裕はありませんでした。。。
次こそは次こそはと言いながら終わりませんでした(すいません!!)
次こそはまとめきりたいと思ってます!...努力します!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!