消化器内科医のひまつぶし

医療関係を中心に?日々起こった事、思った事書いていこうかと思います。

【雑記】優しい笑顔

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皆様お疲れ様です。

今日は少しシリアスな経験を書いてみようと思います。

 

僕がまだ研修医が終わってすぐの3年目の時の話です。大学病院に勤める僕は数か月の間化学療法班に所属していました。

 

化学療法とは抗癌剤のことです。

抗癌剤を使用する患者さんは基本stageIV(いわゆる末期と呼ばれる段階です)の患者さんが殆どです。(手術の後に期間限定で行う化学療法など、一部除きます)

 

病気を治すのではなく、病気の勢いを抑えるために治療を行います。 

つまり治ることはありません。 

 

ですので化学療法班の患者さんは皆さん大体予後(寿命の事です)数か月~数年の方が殆どでした。

 

そんな中、ある男性の入院担当となりました。

その男性は大腸癌を患い、肝臓、肺に転移している状態で見つかりました。

 

 

ここで話しに入る前に抗癌剤について説明します。

【抗癌剤治療】

抗癌剤治療は癌の種類によって使用する薬剤が変わってきます。

1種類ずつ使用する事もありますが、何種類か組み合わせることが多いです。

この組み合わせを世界中の化学療法に携わる医師が日々研究しています。

【使用方法】

使用方法にも決まりがあります。例えば、

4週間内服して2週間休薬を1サイクルとして続けていく、

とか

3日間の点滴を2週間毎に行う など様々です。

種類によっては外来だけで行えるものから、毎回入院を要するものまであります。

 

 

 

僕が周っていた時は、入院してくる患者さんの殆どが抗癌剤治療目的でした。

今回担当になった患者さんもそうなんだろうなと思ってたのですが…

 

 

医局にいる秘書さんから電話がかかってきました。

 

秘書「先生、新入院の患者さん担当になりました。N病棟のAさんです。あと…」

 

僕「了解です。病棟で確認するんでもう大丈夫ですよ~」

 

大体いつも電話がかかってくるときはタイミングが悪く、こんな感じで電話を切ってしまうことが多いです(笑)

 

一通り入院患者さんの診察などを終えてN病棟に向かいました。

 

僕「リーダーさん。昨日入院されたAさんのカルテありますか?」

当時はまだ紙カルテの時代でした。

 

看護師リーダー「あ、これです。先生聞いてはりますか?」

 

 (そういえば秘書さんが何か言いたげだった気もする)

僕「まだ聞いてないですけど…何かあるんですか?化学療法目的の入院じゃないんですか?」 

 

看「それが違うんですよ。腸閉塞で入院になったみたいです。」

 

僕「腸閉塞??イレウス管入れなあかんやん!」

 

【腸閉塞】

腸閉塞(厳密には少し違いますがイレウスと呼んでます)は文字通り腸が閉塞した状態です。原因としては

●癌などによって直接腸が詰まってしまう閉塞性(機械性)腸閉塞

●炎症や癒着によって腸の動きが制限されることで腸が詰まる麻痺性(機能性)腸閉塞

があります。(細かく言うともっと有りますが省略します)

 

治療としては原因を取り除く事が大事なので癌であれば手術、炎症であれば抗生剤などで炎症を治す必要があります。

しかし、その間何もしないと腸が詰まったままになり、感染症を引き起こしたり最悪の場合腸が破れることもあります。なのでその解消法として鼻から長い管(1.5-2m位)を入れます。これをイレウス管と呼んでます。

その管によって便汁を吸い上げて詰まっている状態を解消します。

 

看「イレウス管は昨日の当直で入れたみたいですよ。」

 

僕「そうなんですね。それやったらOKですね。とりあえず患者さんのところに行って挨拶してきます。」

 

患者さんの病室に向かう僕。

そこで衝撃の事実を知ることになるのでした…

 

 

毎度毎度ですが、まとめきれませんでした。

また何回かに分けて書いていこうかと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!