消化器内科医のひまつぶし

医療関係を中心に?日々起こった事、思った事書いていこうかと思います。

【雑記】優しい笑顔 その2

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皆様お疲れ様です。

前回の続きを書いていきたいと思います。

前回の話はコチラから。

 

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【あらすじ】

駆け出しの新人医師であった僕は化学療法班に所属となった。

癌患者さんを診療するその班で一人の患者さんと出会うことになる。

 

 

Aさんの病室についた僕は声をかけながらカーテンを開けた。

 

僕「Aさん、失礼します。担当になりました○○です。」

カーテンを開けてAさんの顔を見る。

 

僕「よろしくお願いしま…す。」

A「あぁ、新しい先生なんですね。よろしくお願いします。」

落ち着いたその笑顔は若かった。

顔を上げて病室のネームプレートに書かれた年齢を確認する。

 

32歳だった。

 

A「僕はここでずっと抗癌剤治療受けてるんです。入院も何度かありましたが、今回はしんどかったです。」

 

昨日挿入されたイレウス管が鼻からでて専用の機械に繋がれている。

機械で吸引を行い便汁を吸い出すのだが、そもそもこの管が太いため皆さん大体入れている間は喉の痛みや鼻の痛みを訴える方が多い。

 

僕「昨日はしんどかったですね。お疲れ様でした。今排液は...順調に吸引できてますね。後でレントゲンに呼ばれると思いますので画像確認しますね。」

 

A「はい、よろしくお願いします。おかげでだいぶ楽になりました。喉が少し痛いですけど、これは仕方がないですよね?」

 

僕「物理的に管が当たってますので仕方がないですね...痛み止め使ったらある程度は抑えられると思いますので、しんどくなったら言ってください。」

 

A「分かりました。」

 

挨拶と簡単な説明を終えて再びカルテの置いてある詰所(ナースステーション)に戻る。

 

僕「Aさんってめちゃ若いんですね...」

 

看「そうなんです。何年か治療続けているみたいです。お子さんもいはるみたいですよ。」

 

僕「!」

少し戸惑った。

 

僕「結婚してはるんですね。お子さん何歳位なんかなぁ?」

看「3歳くらいに見えましたよ。」

 

 

【大腸癌の予後】

大腸癌stageIVの平均生存期間は何もしないで大体半年間、当時は化学療法行っても2年持たない事が多い時代でした(もちろん発見時期によるので大きく差は有ります。)

現在は薬の開発が進み、2年を超えてさらに延びてきています。

 

 

となると、3歳の子供はそう遠くない将来に厳しい現実に直面することになる。

僕(そんな厳しい話するのは辛いなぁ...でも自分の周っている間は大丈夫じゃないかな。)

 

※3年目の働き方

3年目の僕は消化器内科に所属となったといってもまだ専門的には何も出来ない新人でしたので、各班を2-3か月ごと周っていました。

(班についてはコチラから)
www.dr-susie.com

 

 

僕(あと1か月で次の肝臓班に移るし、まぁそんなに厳しい展開にならんでしょ)

ローテーションという制度に甘え、責任感が薄まり油断していた。

 

僕「そっかぁ、まぁ早く退院して一緒にゆっくり出来たらいいね。」

そんな言葉を口にしながらカルテを確認する。

 

まずは血圧、体温などの記録をみる。

(うん問題ない、イレウス管のおかげで状態は良くなってきそうだ。)

 

次に血液検査を確認する。

(少し炎症反応は高いけどこんなもんかな、まぁ他の数値も上がってるけどある程度の異常は仕方がないか。)

 

そして昨日撮影したCTを見た時に違和感を覚えた。

僕「ん?」

看「どうかしましたか?」

僕「いや、なんか...ちょっと行ってきます!」

看「あ、先生ー!?」

 

看護師さんに応える余裕もなく走り去っていくのであった...

 

 

長くなったのでこの辺で一旦終了します。

最後まで読んで頂きありがとうございました!