【雑記】優しい笑顔 その14 闘病編【4日目】
皆様お疲れ様です。
前回の続きを書いていきたいと思います。
前回の話はコチラから
話しの始まりはコチラから
【あらすじ】
化学療法班を周る新人の僕は32歳という若い大腸癌患者Aさんの担当になった。
自信を取り戻した僕はもう治らない状態である事をAさんに伝えた。
そして最期の入院生活が始まった。
【4日目】
4日目は一日外勤の日だった。
週に1日大学の関連病院に手伝いに行く。
とは言っても、駆け出しなので大変な業務はまだ少なく、大体夕方16時ごろには終わる。
いつもなら仕事を終えた後、大学病院に戻り患者さんの状態をチェックするのだが、
「この日僕一日いる日やし、大学に帰ってこなくてもいいよ。たまにはゆっくりし。」
...と、上司から温かい言葉を受け、張り詰めた気持ちを一旦リセットすべく外勤先からそのまま家に帰った。
(昨日良くなってきてたし大丈夫だろう)
突然の休息で特にこれといってする事もなく、
コーヒー片手にのんびりラジオをかける。
コーヒーから立ち上る香りは心なしか優しく感じた。
軽快な音楽とともにDJが淀みなく喋っている。
どうやらマイケルジャクソンの映画が公開されるらしい。
そういえば前に亡くなったんだったな...
少し気になり、パソコンで調べ始める。
死因は...プロポフォールの過量投与なのか。
不眠症で苦しむ彼は、医師がついていないと使用できない程の強い麻酔薬を単独で使用していたらしい。
細かい事情は分からないが、他に方法はなかったのだろうか?
自分ならどうするかと、色々と案を考える。
(そういえば、以前精神科で研修してた時に不眠症の薬勉強してたな)
本棚を漁り始める。
端に追いやられていたその本は、1年ぶりに再び日の目を浴びる。
【マイケルジャクソンへの不眠症治療】
この何の情報もなく、検証しようのない症例に対して
自分なりの答えがでる頃には、外は暗くなっていた。
明日はAさんの家族が来る日だ。
厳しい話をAさんが家族に伝えてくれてたら話しやすいんだが...
家族が初めて聞く場合も考えて慎重に話さないと。
昨日の良い話も交えながら希望を持ってもらえれば...
説明のシミュレーションを終え床に就いた。
夢でマイケルジャクソンに会えるかと期待したが、
その日は夢を見なかった。
短めですが一旦終了させて頂きます。
最後まで読んで頂きありがとうございました!