消化器内科医のひまつぶし

医療関係を中心に?日々起こった事、思った事書いていこうかと思います。

【雑記】優しい笑顔 その12 闘病編【2日目】

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皆様お疲れ様です。

前回の続きを書いていこうと思います。

前回はコチラから

 

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 話しの始まりはコチラから

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【あらすじ】

化学療法班を周る新人の僕は32歳という若い大腸癌患者Aさんの担当になった。
自信を取り戻した僕はもう治らない状態である事をAさんに伝えた。

そして最期の入院生活が始まった。

 

【2日目】

 

昨日の今日で何かが変わるわけではない。

 

 

それは良くならない事への諦念か、

それは悪くならない事への念望か。

 

複雑に絡み合う思いを胸にN病棟へと向かった。

 

 

病棟につくといつも通り詰所に向かう。

 

看「お疲れ様です。」

僕「お疲れ様です。」

 

勤務形態が皆違うためか、どの時間帯でもこの挨拶がとり行われる。

 

ふと目をやると詰所の近くの病室が見える。

そこにAさんがいた。

 

 

僕「あれ?Aさんの部屋こっちに移ったんや?なんかあった?」

 

不安がよぎる。

詰所の近くの病室はすぐに対応できるよう重症患者が入る事になっていた。

 

 

看「いえ、一応急変に備えた方がいいかと思い移ってもらいました。」

 

 

近いうちに必ず起こるであろう病態を「急変」と表現するのに違和感を覚えながらも、

何事もなかった事に安心する。

 

 

するとAさんがこちらを向きいつものようにはにかんでいる。

 

本来は昨晩の看護カルテを確認してから病室に向かうのだが、

目が合ったので手順を飛ばしAさんのもとへ向かう。

 

 

僕「おはようございます。いかがですか?」

 

A「おはようございます。昨日よりもお腹の張りもましになってだいぶいいですよ。」

 

 

僕「便は出ましたか?」

排便があれば腸が動き出した証拠となる。

 

A「まだ出てないですね。」

 

僕「そうですか…」

 

 

僕「…でも症状が良くなってきたのはいいですね!明日血液検査とレントゲン行いますね。」

 

A「わかりました。お願いします。」

 

 

僕「また何か症状悪くなったりしたらすぐに仰って下さいね。」

 

A「怖い事言わないで下さいよ(笑)…わかりました。」

冗談っぽく話すAさんにこちらも笑顔で応え病室を後にした。

 

 

詰所に戻り、昨晩のカルテを確認する。

 

僕「ん?痛み止め使ったんだ。結構痛がってたん?」

 

【入院指示】

入院の際には、痛みが出たらこれ、熱が出たらこれ、といった具合に使う薬剤を指示しておきます。

そして夜間などはその指示をもとに看護師さんに薬剤を使用してもらう事で迅速な対応ができます。

 

 

看「いや、そんなに痛がってはいなかったみたいですよ。なんか重たい感じがするとかで1回だけ使用したみたいです。」

 

僕「まぁ、腸閉塞も残ってるししょうがないか。わかりました、有難うございます。」

 

 

重たい…か。

 

症状もよくなっており、経過観察の方針とし病棟を後にした…

 

少しの憂慮を胸に。

 

 

一旦終了させていただきます。

最期まで読んでいただきありがとうござました!