消化器内科医のひまつぶし

医療関係を中心に?日々起こった事、思った事書いていこうかと思います。

【研修医時代】心臓血管外科編 その2

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皆様お疲れ様です。

前回の続きを書いていきたいと思います。

 

 

前回はコチラから 

www.dr-susie.com

 

【あらすじ】

研修医として初めての仕事に就く前日、今後ともに働いていくことになる立花と電話で話し心を落ち着かせた僕。その翌日、ついに研修が始まった。

 

 

「さて…行くか。」

 

初日の朝はカンファレンス(会議)のため朝7時半集合だった。

国家試験に合格後、怠惰な生活をしていた僕は、その緩んだ体に少し眠気を残し病院へと向かった。

 

病院の自動ドアをくぐる。

 

(さぁ始まりだ)

 

眠気なんてものはすぐに吹き飛び、胸部外科の医局へと向かう。

 

 

僕「失礼します!」

医局のドアをノックし、少し待ってからドアノブに手をかける。

緊張からか少し重く感じるドアを開くと、先生方が数人ソファに腰かけテレビを見ていた。

 

??「おっ、ガンバ勝ってるやん。やっぱこいつ上手いわ。」

 

??「先生サッカー好きですねぇ。...ん?」

 

 

こちらに気付いた、やや細身の先生が話しかける。

 

中森「あ、今日から研修する先生?僕、中森っていうんでよろしく。」

 

坊ちゃん刈りに細い目をし笑顔で話しかけてくる中森先生は一見気さくそうに見えるが、目は笑っていない。フレームレスの眼鏡が冷たい印象を強くさせた。

 

重野「重野って言います。よろしく。」

さっきテレビを見ている時とは打って変わって、仏頂面をしている。

その少し焼けた肌に強面っぷりが相まってかなり怖い...

 

(…やっていけるかな。)

 

 

不安を押し殺して、出来る限り明るく挨拶をする。

僕「今日から2か月間お世話になる辻と申します。よろしくお願いします!」

 

 

奥に座っていた数人の先生がこちらを向き軽く会釈する。

 

 

中森「まぁそんなに畏まらずに(笑)もうすぐカンファ始まるしそこらへん座っといて。」

 

言われるがまま席に着き、居心地の悪い空気の中時を過ごす。

テレビがついているのが何よりの救いだった。

先ほどから流れているスポーツニュースを横目で観るも内容は全く入ってこない。

 

 

ガチャ!

 

 

突然勢いよくドアが開く。

 

??「さぁカンファ始めようか!重野!準備せんか!」

 

 

重野「は、はい!もう出来てます!」

 

あまりの勢い良さに、いたずらのばれた子供のように重野先生が戸惑う。

 

 

(これが宮田教授か...)

 

宮田教授は若くしてその手術成績が認められ教授となった。

きっとすごい人なんだろうな、位の気持ちで構えていた僕はその雰囲気にあからさまに委縮した。

 

宮田「ん?なんだ、研修医か!今日からよろしくな!自己紹介してくれ。」

 

あまりの早いテンポに皆戸惑う中、再度挨拶をする。

 

僕「よ、よろしくお願いします!辻 徹 (ツジ トオル)と申します!2か月間お世話になります!よろしくお願いします!」

 

混乱の中一瞬で自己紹介を終える。

 

教授は一瞥もくれず、先日手術を行った患者さんのレントゲン、CT画像を見始めている。

 

宮田「おーし、研修医有難う。じゃあ重野話してくれ」

 

 

重野「先日行ったMVRの患者さん、バイタルは安定しておりレントゲン上も心拡大増悪していません。あと…」

 

専門用語が立ち並び全く訳が分からない。かろうじて初めの部分だけ聞き取る。

 

(MVRって何だろう??後で調べなければ…)

 

その後も医局員による入院患者のカンファレンスが続くが、教授のスピード感が伝播しているのか30分もしないうちに終了した。

 

宮田「おーし、特に重症化している患者はいないな。この時期はスタッフも交代する時期だから手術は4月16日までないので皆、束の間の休息楽しんでくれ(笑)」

 

教授は笑みを浮かべながら、すぐに医局を去っていった。

 

全員の雰囲気が少し和らぐ。

普段ならこのまま手術に向かうのだが、束の間の休息を得た皆の動きはゆっくりであった。

 

その緩んだ空気の間に残っている先生と話せるだけ話し、少し仲良くなった。

 

 

(2週間も手術ないのか...まぁ楽だけど拍子抜けだな)

 

そんな気持ちでいるのを察したのか中森先生が話しかけてくる、

 

中森「先生、2週間後から地獄が待ってるから今のうちに出来る事やっとかなあかんで。」

 

僕「は、はい!頑張ります!」

気持ちを見透かされたことに焦りながら返事をする。

 

中森「先生、僕とペアやからよろしく。まずは一緒に病棟いこっか。」

 

僕「よろしくお願いします。」

 

右も左もわからず元気な印象だけを皆に与え、病棟へ向かっていくのであった。

 

 

一旦ここで終了します。

最後まで読んで頂きありがとうございました!