消化器内科医のひまつぶし

医療関係を中心に?日々起こった事、思った事書いていこうかと思います。

【ちょっと情報】腸管の癒着とは

皆様お疲れ様です。

久しぶりに医療情報を紹介していきたいと思います。

 

今までも何度か話に出たことがありますが、よく患者さんから質問される腸管の癒着について説明させて頂きます。

 

【癒着とは】

【癒着の原因】

【癒着の起こる時期】

【癒着の治療法】

【癒着の対処法】

 

【癒着とは】

癒着というのは炎症が起こることによって組織と組織がくっついてしまうことです。

お腹の中には様々な臓器がありますが、一番動いている臓器は腸管(小腸、大腸)です。

この腸管の組織が、お腹の中の組織とくっつくことで動きが悪くなってしまうと、食物の運搬機能が落ちてしまい、腸閉塞(イレウス)を引き起こすリスクとなってきます。

 

【癒着の原因】

癒着が起こる原因としては、

①手術 ②腹腔内の強い炎症 ③その他 があります。

①手術

一番多いのは手術です。手術によって傷ついた組織がお腹の中で修復される際に腸管の外壁の組織とくっついてしまい、腸管の動きが弱まってしまいます。

特に子宮や卵巣、膀胱などの下腹部の手術後はS状結腸という大腸の癒着が起きやすく(その他でも起きる事はあります)後々問題になることが多いです。

 

②腹腔内の強い炎症

炎症が起きると手術と同様に癒着が起きます。

腹腔内の強い炎症の例としましては、

胆嚢炎、急性膵炎、卵巣炎、虫垂炎、結腸憩室炎などがあります。

また急性腸炎や腎盂腎炎などもかなり強い炎症になれば癒着が起こることもあります。

 

③その他

他には癌が腹腔内に転移してしまう腹膜播種などでも起こってきます。

 

【癒着の起こる時期】

ここがよく聞かれるのですが、癒着はすぐには起こりにくいです。

10年20年前の手術が原因で癒着が起こったりなんて話も多々あります。

なので上記の起こるリスクのある方は今後注意は必要です。

 

【癒着の治療法】

残念ながら癒着を治す薬はありません。

唯一癒着を物理的に剥がす手術(癒着剥離術)はありますが、手術になりますので体へのダメージが強いのと、この手術にても癒着が起きてしまう事もあります。

 

【癒着の対処法】

癒着が起きても症状がなければ経過観察で大丈夫ですが、

先ほども書きましたが腸閉塞が起こり易くなるので便通には注意が必要です。

便秘、腹痛などがひどくなるなどの症状が出てくる場合は内服を開始します。

その場合は消化器内科にて内服薬の調整を行っていきます。

一番よくつかわれるのが

大建中湯

という漢方薬です。

これは手術後の癒着に対して効果的とのデータも多く示されておりかなり有効です。

基本的に便が詰まらない様、常に動かす必要がありますので内服はずっと継続する必要があります

 

これでダメなら、薬を追加していきます。

 

僕の使用例としましては、 

●腸管を動かす薬として

ガスモチン、ナウゼリン、プリンぺラン、センノシド、ラキソベロン等

 

●便を柔らかくする薬として

酸化マグネシウム、アミティーザ、最近ではリンゼス、グーフィス、モビコール等

 

●腸管ガスを減量する薬として

ガスコン

 

これらを組み合わせて使用していきます。

個人によって内服の効き方も違うので正解の処方は1つには決まりません。

もし昔に手術や大きな炎症を罹患され、現在便秘、腹痛などの症状で悩まれておられる方いらっしゃいましたら一度消化器内科を受診してみて下さい。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

【役に立ったらいいな】大腸内視鏡(大腸カメラ) -どんな人がやるべき?-

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皆様お疲れ様です。

今回も大腸内視鏡について書いていこうと思います。

 

実践編はコチラから

 

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色々と書いてきましたが、では大腸検査はどんな人が行うべきかを書いていきたいと思います。

 

【便の検査(便潜血検査)が陽性の方】

よく健診やドックで便の検査を行います。

2回行うのですが「1回でも陽性であれば大腸内視鏡検査を受けてください!」

 

この検査は便の中に血の成分が混じっているかどうかを判定する検査ですが、

こんなに簡単な検査なのに結構すごい力を秘めてます

 

検査には感度、特異度といった精度についての指標(みたいなもの)がありますが、

この検査はこの中で陰性的中率が99.9%です!

 

これはこの検査で陰性が出ると99.9%「癌」ではないということになります。

ですが逆に言うと2回とも陰性でも0.1%は癌である可能性があるということになります。ですので毎年受けて毎回陰性であればまず大丈夫という考えになってきます。

 

では何故、陽性なら受けないと行けないかということですがこれは、

大腸の中は覗いてみないと分からない

に尽きると思います。

 

この検査ちなみに陽性的中率は3-5%くらいです。

つまり陽性になっても95%近くは「癌」ではないということになります。

 

しかしながら先ほどの陰性的中率も「癌」についての確率しか話していません。

癌はいきなり現れるわけではなく、そのほとんどが良性であるポリープが段々大きくなり徐々に癌化していきます。(違うものもあります)

ポリープのうちは外来で処置出来る場合が多いですが、癌化してくると入院での特殊な内視鏡手術や外科手術が必要になってくる場合が多くなります。

 

しかし、残念ながらこのポリープを見分ける簡単な検査というのは存在しません。

 

ですので、極論すれば全員一回は行わないと大丈夫とは言えないということになります。

 

ですが、全国民に大腸検査を受けさせる訳にはいきません(手間、費用いろんな意味で)

 

ですので便検査を行い、ある程度危険群を絞り込んで受けてもらうという方法をとるしかありません。

 

ちなみに便潜血検査陽性となるのは全体の6%位ですのでかなり絞り込めることになります。

また陽性となった方は2回とも陰性だった方よりも33-58倍大腸癌のリスクが高くなります。(少し数字のトリックな感じもしますが,,,)

 

いずれにせよ個人的には

「本当は皆に受けてほしいけど、それは難しいからせめて便検査が陽性になったら受けてください」

と思っていつも説明しております。

 

 

【何歳になったら受けるべき?】

 

これについてもあくまで割合の問題になりますが、

【40歳】から大腸がんにかかる割合が増えてきますので、40歳を過ぎたら取り敢えず便の検査を受けておいた方がベターとなります。

 

余談ですが、

僕の今まで診た患者さんの中に、20代で早期大腸癌だった方も数名いらっしゃいますし、進行大腸癌で35歳で亡くなられた方もいらっしゃいました。

もちろんあくまで稀な例ですので、ここを基準に健診を組むことは不可能です。

ですが、あの時の何ともやりきれない気持ちは今でも残ってます。

 

 

【こんな症状が出たら受けるべき】

 

また便の検査以外でも症状によっては受けた方がいい場合があります。

一つは血便(お尻から血が出る事)です。これはまぁ何となく皆さんそうされると思います。

 

二つ目は便柱狭小化(便が細くなる)です。これは進行大腸癌などで大腸の中が狭くなってしまった時に起こってきやすいです。周囲に血がついてたりしたらさらに可能性高くなりますので要注意です。ですが痔の時でも同じことが起きてくることありますので、あまり悲観的にならずに医療機関に受診してください。

 

その他には便秘や下痢が続く時も一応勧めてはいます。

内服薬の影響による腸炎などの時もあれば、過敏性腸症候群(主にストレスで腸の動きがおかしくなる病気)などの時もあり、やはり排便の異常な状態が続くときは考えた方がベターと思われます。

 

大体まとまったかと思ってますが、足らない部分や聞きたいことなどありましたら、聞いて頂ければ幸いです。(どこかで最終版としてまとめます)

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

【役に立ったらいいな】大腸内視鏡(大腸カメラ) -実践 その2-

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皆様お疲れ様です。

今回も大腸内視鏡実践編について書いてみたいと思います。

 

前回のはこちらから (11/12にUPしたのですが何か上手くいきませんでした…)

www.dr-susie.com

 

前回の話では奥まで挿入できたことになりますのでここからは引き抜きながらの観察となります。

 

【観察】

とは言いましてもここからは、テクニック的な話がメインになってします。

 

観察の際に重要なのが、襞の裏もきちんと見ているかと言うことになります。

大腸は大きめの襞がいっぱいある臓器です。(ホルモンのシマチョウと同じです)

ですが、大抵の大腸内視鏡は前方しか見えませんので普通に観察していると襞の裏側は死角になってしまいます。(しかも結構こういうところにポリープ隠れてること多いです。)

 

ですので、カメラをグリグリ動かしながら襞を押し分けて観察していかないといけないのですが、たまに検査を早く終わらせるためにすっ飛ばして観察する先生がいらっしゃいます。

 

これに関しては実際検査やってる人しか中々分かりにくいと思いますが、一つ面白い論文が以前に発表されました。

それは

 

「大腸の観察時間(奥まで到達してから引き抜いてくるまでの時間)が6分以上であれば腺種(ポリープの事です)の発見率が上がる」

 

観察に時間をかければ病変がよく見つかる、とまぁ当たり前ではありますが(笑)

なので最低でも6分は時間をかけていないとちゃんと観察していない可能性は高いです。

僕の場合は大体挿入に5分、観察に15分くらいはかけて行っています。

 

【消化器内科医がベターな理由】

この観察において消化器内科医がベターな理由が出てきます。

具体的な例を挙げて説明していきます。

 

<例1> 感染性腸炎

生卵、生肉、魚など様々な食物で感染を起こす可能性がありますが、これら全てを総称して感染性腸炎と言います。

 

ですが、もちろん感染する菌(サルモネラとかカンピロバクターとかです)によって炎症の起こし方に特徴があります。

 

そして、それをカンファレンスでカメラの画像見ながら議論する事が圧倒的に多いのは消化器内科です。

 

本来であれば、感染性腸炎の診断は、1週間くらいの食べたものを聞き出し、便の培養検査(菌を調べる検査です、通常1週間はかかります)など行い菌を同定していくのですが、それにカメラの画像での診断も加わる事で、より正確な診断、そしてより確実な治療(抗生剤の選択)ができるようになってきます。

 

<例2> 潰瘍性大腸炎

 

これも最近増えてきている難病ですが(増えすぎて軽症の方は難病から外されました)、病態としては完全には解明していませんが、本来ウイルスなどの外的から身を守る自分の免疫が、自分の大腸を敵とみなして攻撃してしまう病気です。

 

これも、一番大事なのはカメラの画像です。

症状なども必要になってきますが、最終的に診断を下すのはカメラの画像で行います。なので、この病気に慣れていない人が内視鏡をすると

 

「ん?…とりあえず生検(組織をとって調べる検査です)して検査まわしとけばいっか。」で終わってしまう場合があります。

 

実際それで僕の外来にまわされてしまい、もう一度大腸検査をやり直した事もあります。

 

慣れた人が見ると、

「粘膜面は潰瘍性大腸炎だろう、しかしながら同様の粘膜を示す病気としてカンピロバクター腸炎なども除外しないといけないな。

生検も必要だけど、ついでに便培養(内視鏡検査中に採取できます)も提出しておけば次の外来で診断、治療に移れるかな。」

さらに終わった後に、今後の予想されるであろう経過も話して専門の外来を予約したりできます。

 

このように行う医師によって外来を受診する回数、治療までのスピード、全体にかかる費用まで変わってきてしまいます。

 

なのでできれば消化器内科での検査が望ましいと思われます。

 

 

思った事を書いていくとどんどん膨らんでしまいます…

そのうち完全版としてまとめたいと思っております。

 

最後まで読んでいただき有難うございました!

 

【役に立ったらいいな】大腸内視鏡(大腸カメラ) -実践-

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皆さまお疲れ様です。

今回はいよいよ大腸内視鏡検査実践について書いていきたいと思います。

 

とはいっても、前回書いたように眠たくなる注射(鎮静剤)を使っていたら寝ている間に終わりですのであまり興味ない範囲になるかもしれませんが(汗)

 

どんな検査を行っているか書いていきます。

 

【まずは挿入】

まずやっている最中によく言われるのが、

検査序盤の「ポリープとかありますか?」という質問です。

これについては基本「わかりません」と返しています。

 

大腸カメラは大体初め(挿入中)観察は行いません

よほど大きかったりすると挿入時に見えることはありますが、そんな時でも詳しく観察は行わず、まずは一番奥まで挿入してから引き抜きながら観察する事が基本となってきます。

 

これには理由があります。

大腸は1.5mくらいありますが、これに対して大腸カメラの長さは大体1.2mほどです。普通に押して入れていくだけでは長さが足りなくなります。

そのため、挿入中は大腸を折り畳みながら挿入していきます。

 

この際に空気を入れてしまうと折り畳めなくなってしまいます。

分かり易い例えとしてはバルーンアートの風船を考えてみてください。

空気が入っていないときはふにゃふにゃですが、空気が入ると真っ直ぐに伸びてしまい折り畳むのは困難になります(実際のバルーンアートはそっから曲げまくってますが^^;)

 

このように空気を入れずに挿入することが必要になってきますので、途中で観察するべく膨らます事は控えなければなりません。

 

【挿入しやすい人、しにくい人】

大腸内視鏡検査にて楽だった人としんどかった人と分かれる理由があります。

 

まずは細身で小柄な女性の方は難しい事が多いです。

これは、おなかの中のスペースが狭いので大腸が鋭角で折れ曲がって収納されてしまってる事が多いからです。

大腸の中を進むとき急カーブがあるとそれだけスムーズに越えるのが難しくなり、どうしても無理やり押しながら越えていたりする必要が出てしまいます。

 

次にお腹の手術をしたことがある方は難しくなりやすいです。

傷ができると治る際に周りの組織を引っ張りながら(引きつれながら)治っていきます。お腹の手術の後にはこれがお腹の中で起こります。そのときに腸管の組織も引き込まれてしまうと、その一部分の動きが制限されてしまいます。

これは癒着と言います。この癒着が起きた部分は折り畳むこともできず、押していくしか越える方法がありません。ここを越えるときは激痛を伴うことが多いです。

癒着は特にS状結腸に起きると痛みが強くなることが多いです。

場所的には臍から下腹部あたりの手術に起きやすく、個人的には子宮、卵巣の手術、帝王切開、その他下腹部を切開するような手術をされた方は癒着が強い印象があります。

 

次にお腹の中に炎症を起こしたことがある人も難しくなりやすいです。

これも先ほどと同様炎症が起きることで癒着が起きてしまいます。

腹膜炎、虫垂炎(いわゆる盲腸です)、卵巣の炎症、急性膵炎など病名は様々ありますがお腹の中の炎症が起きた方は要注意です。

 

以上に当てはまる方は前回書かせていただいた鎮静剤を始めから使うのがベターかもしれないです。

 

 

長くなりましたのでとりあえず今回はこの辺で切り上げたいと思います。

最後まで読んでいただき有難うございました。

 

【役に立ったらいいな】大腸内視鏡(大腸カメラ) -実践...の前に-

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皆様お疲れ様です。

今回は大腸内視鏡検査について書いていきたいと思います。

 

前回で腸の中はスッカラカンになりましたのでいよいよ本番となります。

 

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ですがその前に...

【施行の前に】

●眠たくなる薬について

まず大腸内視鏡検査を行う前によく聞かれるのが眠たくなる薬(睡眠導入剤、鎮静剤)を使うかどうかです。

眠っている間にやると痛みを感じていても覚えていません。

なので起きたら検査が終わっているという状況になるので楽に受けれると思います。

 

ただし最近はやや縛りがあります。施設によって微妙に変わりますが大体、

・車での来院はNG

・検査後1-2時間は病院内で安静にしてもらう

事が必要になってきます。

以前はこんな事はなかったのですが、昔鎮静が残った状態で車で帰宅させた際に事故が起こったことが発端でこういうルールが作られました。

 

これらをクリアするなら僕はあった方が楽に受けれるのでお薦めだと思ってます。

 

●痛み止めについて

また痛み止めを併用する病院もあります。

併用すると気持ちよく受けれるとは思いますが、個人的にはあまりお薦めしません

その理由として

①鎮静剤だけで大体痛み感じることなくできることが多いのでそもそも要らない。

②痛みをとるとリスクが上がる

があります。

①はそのままなので流します。

②についてですが、上手い先生がやる分には問題ないですが、下手な先生がこれをするとかなり危険です。

大腸内視鏡中は実は結構痛みを伴う部分があります。痛い所というのは腸が押されて痛いのでこれがひどくなる時は、腸が破れる可能性が高まっていることになります。あまりにも痛がるときはそこで一旦止めて違う方法で挿入したりするのですが、痛み止めを使うとこれが分からなくなるので、そのまま挿入→穿孔(破れることです)なんてことが実際起こってます。

もちろん使っているところがダメというわけではありません。

使っておられる上手い先生もたくさんいらっしゃいます。

なのであくまで片隅にとどめる程度にして頂き後は評判で判断するしかないと思います。

 

【病院選択】

ちなみに病院選択については以前にも書かせて頂きましたが

 内視鏡専門医であるかどうかは必ず確認して下さい。

あと出来れば消化器内科がいいと思います。大腸の疾患に普段から携わっている方が診断力が変わってきます。

大腸内視鏡検査は基本粘膜を見る事で診断する検査ですので検査の質に違いがかなり出てきます。

また大腸内視鏡は胃カメラよりも手技的にかなり難しくなりますので特に注意した方がいいです。(今まで穿孔起こしたとかで運ばれてきたのは消化器内科以外で専門医も持ってませんでした。)

 

 

若干説明する順番がばらつきましたが、最終的にがっつりまとめれたらと思ってます。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

【役に立ったらいいな】大腸内視鏡(大腸カメラ) -前処置-

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皆さまお疲れ様です。

今回は大腸内視鏡について書いてみようかと思います。

  

 

【大腸内視鏡とは】

まず大腸内視鏡とはその名の通り大腸をカメラで見る検査です。

やったことある方はご存知だと思いますが、前日の食事制限やら当日の下剤やらで行う前がまぁまぁ大変な検査です。

 

【大腸内視鏡の流れ】

具体的なやり方を書いていきます。

まず基本的な考え方は「大腸をスッカラカンにする」ことです。

便が残っていると、カメラのレンズについて観察が困難になってしまいます。

そのために便を出し切ることが大事になるのですがこれが中々大変です。

施設によって微妙に違いがありますが、

 

①前日の食事を検査食に変更する。

検査食というのは便になる量が少なくなる食事のことです。前日普通に食べていると当日に便が中々出し切れず延期になってしまうこともあります。

ただカロリー低いのでかなりお腹減ります。

 

②前日の夜に1回目の下剤内服。

僕の所ではラキソベロン(ピコスルファート)という液体の下剤を1本内服(20ccくらい)してもらってます。これにより大腸が刺激され動きが活発になり、当日の朝から便が出やすい状態になります。

 

③当日の朝から2回目の下剤内服。

大体朝の8時前後くらいから2回目の下剤を飲んでもらいます。これが最大の難関です。

マグコロールP、ニフレック、モビプレップという液体の下剤を1.5-2L飲む必要があります。(結構不味いです。)

これは完全に便を洗い流すためですのでここでサボってしまうと検査に支障をきたしますので頑張らなければいけません。

他にビジクリアという錠剤はありますがこれも50錠内服する必要があり中々大変です。

また最近ピコプレップという新しい薬が出ましたが、結局は水分は2L近く飲まないといけません。(透明な液体ならOKなので、味の面では朗報です。)

 

ここで必ず知っておいてほしいのが、

腹痛が出てきたらすぐに連絡する! 

腸が動きますので多少の腹痛は仕方ないのですが、どんどん強くなるなどの時は要注意です。

 

これは一気に便を排出するため、大腸がんなどの大腸の通る道を塞ぐ様な病変があると、途中で引っかかってしまい腸閉塞を起こすことがあります。

怖いことにこの状態で飲み続けると、破裂することもあり実際に死亡に至ったケースもあります。

 

その他にも細かいリスクはありますので、詳しくは受けられるときに聞いて下さい。

 

④便の状態の確認

頑張って飲んでいただき、最終的に透明な液体がお尻から出るようになったら準備OKです。これについては基本レクチャーがあります。これも誤魔化すと検査の質が落ちてしまうので正直に話した方がいいです。(たまに嘘つかれる方がおられ、検査相当大変になります)まだいい状態になっていなければ、検査の順番変えたり、点滴行ったりとある程度の方法(裏技)有りますので安心してください。

 

以上を行うことで検査準備完了となります。

 

一気にまとめて書きたいのですが、中々時間が取れず細かく書いていきます。

すいません。。。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

【役に立ったらいいな】肺炎ワクチン。

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皆様お疲れ様です。

今回は肺炎ワクチンについて書いてみようかと思います。

結論に急ぐ方はコチラから

 

 

最近よく耳にする肺炎ワクチンですが、正式名称は

肺炎球菌ワクチンと言います。

その名の通り肺炎球菌という肺炎を起こす菌に対して免疫を獲得するためのワクチンです。

しかしながら肺炎を引き起こす菌は肺炎球菌だけではありませんので、

全ての肺炎を予防するわけではありません。 

「ワクチン打ったのに肺炎に罹った」と話される方が結構いらっしゃいます。

 

また肺炎球菌の中にも種類があり、

肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌の一部に対して抗体を作る

ものですので、

肺炎球菌ワクチン打っても肺炎球菌による肺炎に罹る

事もあります。

 

だったら打たなきゃいいとなりそうですが、そうでもありません。

 

現在肺炎は本邦における死因として第3位(2013年調べ)であり、

死亡していない人数を合わせると、非常に多くの人が罹る疾患となります、

 

その中で原因菌として一番多い肺炎球菌(30%位)をカバーするということは上記の点はあったとしてもかなりの患者さんに恩恵を与えるワクチンとなってきます。

 

また肺炎は高齢者に多く、肺炎により死亡した患者さんの約95%は65歳以上でした。

この事からワクチンを打つ年齢としては65歳以上からが推奨されています。

 

(小児に対するワクチンについては意味合いが違うのでここでは割愛させて頂きます)

 

また現在本邦においてこの肺炎球菌ワクチンには以下の2種類があります。

●ニューモバックス

●プレベナー13

 

●ニューモバックス

これは1988年からあるワクチンで、現在65歳から助成金の対象になっているワクチンです。これは肺炎球菌の中で肺炎を引き起こしやすい23種類という比較的広範囲をカバーできるワクチンとなっていますが、抗体を作る力が弱いため5年すると効果が減弱する可能性があり、2回接種することが推奨されていました。

 

●プレベナー13

これは2013年にできたワクチンで助成はなく任意接種(11000円位)となります。

これは13種類の肺炎球菌をカバーする、ニューモバックスよりは狭い範囲のカバーとなりますが抗体を作る力が強いですので1度打ったら終わりというワクチンです。

 

ではどちらがいいのかという話になりますが、実はこの2つそれぞれカバーしている範囲が違いますので、

【両方打つ方がいい】と言われています。

 

ワクチンを打ったことがない方は

【プレベナー13】 → 6-12か月空けて 【ニューモバックス】

 

ニューモバックスを打ったことのある人は

1年以上空けて 【プレベナー13】 → 6か月以上 かつ ニューモバックス初回投与から5年以上空けてニューモバックス】再投与

 

といった打ち方が推奨例の一つです。

打ち方については助成金の問題もあるので一つではないですが、65歳になる方は一度相談してみてください。

 

               【結論】

●65歳以上の方は肺炎球菌ワクチンを接種した方がいい。

●肺炎球菌ワクチンには2種類ありできれば両方接種が望ましい。

●接種の仕方は助成金の問題もあるので病院で相談して下さい。

●肺炎球菌ワクチンを打っても肺炎に罹らないわけではないので、日頃からの手洗いうがいなど予防を心がけて、調子が悪いときは早めに医療機関へ受診してください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

【役に立ったらいいな】胃カメラ 口から? 鼻から?

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お疲れ様です。

今日は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)について書いてみようかと思います。

 過去の胃カメラネタはこちらから。

 

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胃カメラする時によく聞かれるのが、

「口から(経口)か鼻から(経鼻)かどっちがいいですか?」

ですが、これについて書いていきたいと思います。

面倒だったら最後にまとめてますのでそちらをお読み下さい。 

 

鼻から(経鼻内視鏡)視点で説明していきます。 

 

【鼻からのメリット】

【鼻からのデメリット】

【絶対気を付けること】

【結論】

 

【鼻からのメリット】

まず鼻から(経鼻内視鏡)のメリットとしましては、

●楽に受けられる

があると思いますが、これは経口と違って口蓋垂(いわゆる、のどち〇こです)近傍を通らないため咽頭反射(オエっとなることです)が起きにくいためです。

 

●検査中会話ができる

これもメリットとなることが多いです。話しながらだと大分気も紛れるし、何かあれば説明しながら検査もできます。

 

●画質に遜色がなくなってきている

昔は経鼻カメラは細いので画質が悪いと言われてましたが、最近はどんどん良くなってきていて、普通に検査する分には全く問題ないと思われます。 

 

【鼻からのデメリット】

それに対してデメリットとしましては、

 

●カメラが細いため処置ができない

これは経口との大きな違いです。組織を取って調べる検査くらいはできるのですが、それ以上の処置(例えば血を止めたりする処置)は鉗子が通らないためできません。

ですから、止血処置する必要のある時、もしくはその可能性を疑うときは問答無用で経口から太いカメラを入れることになります。

 

●画質、特殊光検査、拡大検査の問題

先ほど普通に検査する分には問題ないと書きましたが詳しく調べる必要のある時はあまりよくありません。

というのも最近は特殊光検査という検査が発展しており、病変に特殊光を当てることで血管構造を強調し、それを拡大してみる事で癌なのかそうでないのか、また癌の深達度(どれくらい深く浸潤しているか)等を評価することができます。

これは太いカメラにしか出来ないので、精査する時はこれも問答無用で経口になります。

 

 

これらの点を考えると、普段はいきなり精査や処置する事はほぼないですので

取り敢えず胃カメラ受けるときは経鼻でいいんじゃないかとなりますが、

 

気を付けないといけない大きな点があります

 

 

 

                   

【絶対気を付けること】

 

●鼻腔が狭いと危ない!

経鼻内視鏡は鼻の奥にある鼻甲介という部分を通っていくのですが、ここが狭いと検査後の鼻出血を引き起こしたり、ひどいときは骨折したりすることもあります。

小顔の人はもちろんですが、大柄男性の方でも鼻腔が狭い方はたまにいらっしゃいますので、そういう方は経口の方が安全です(一度やってみないと分からないですが…)

 

●経験少ない医師がいる

内視鏡が下手な先生に当たると危ないです。

ちゃんとトレーニングしていないのにお金儲けでやっている先生は意外にもめちゃ多いです。

しかもそういう先生は人気優先ですのでうちは経鼻なので楽にできる!!と大いに謳って患者さんを誘き寄せます。

 

見分け方としましては以前にも書きましたが、

内視鏡専門医を持ってる事は絶対に大事です。

内視鏡専門医はトレーニングなしには取れない資格です。

取っていなくてもうまい先生はいますが、可能性としてはやはり低くなってきます。

ただ難しいのは大きな病院だけに勤務されてる専門医の先生は精密検査が多く、逆に経鼻内視鏡をされてる経験が少ないという事もたまにありますので、

あくまでも目安にして後は口コミとかに頼るのが現状だと思います。

 

(詳しい調べ方)

もっと詳しく調べたい方は、受ける病院のホームページを見てください。

しっかりしている病院は内視鏡件数が書いています。その中で経鼻内視鏡の件数を書いていてくれているところがあれば大体大丈夫です。

書いていなくとも最低年2000-2500件くらいやっていれば毎日検査しているはずですので普通はちゃんとしているところが多いです。

 

もちろん例外もあります。

例えば僕の勤めている病院では

 

年3000-3500件近く内視鏡行っており、

経鼻内視鏡も毎日行っていて、

皆専門医を持っている、

というこの基準で言うと安心な病院になるのですが、曜日ごとに行う先生が変わるため、月火水はうまい先生、木金は正直お薦めは出来ない先生が担当しています。

こんな感じで病院の中でもかなり偏りがありますので最終的には口コミや内部の人の情報が大事になってきます。。 

 

信頼できる町医者さんがいればそれが確実なのかもしれませんがこれまた見極めるのはなかなか難しいです。

 

                   

【結論】

まとめますと、

健診など取り敢えず受ける検査、または症状が軽い方は経鼻内視鏡の方が楽な可能性が高い!

しかし癌を疑われた時とか症状が重い方は経口で受ける方がいい(普通は医師側から提案されます)

カメラを行うときはその先生が内視鏡専門医かどうか確認。

最終的には口コミ、内部情報も大事になってくる

 

以上が気を付ける点だと思われます。

他にご質問あればいつでもどうぞ!

最後まで読んでいただきありがとうございました!